ポラロイドカメラ

 

 








君と共に居た瞬間
全てが愛しく美しい


僕はその断片を切り取り抱きしめる。









「ゴーロちゃん」

テラスで水を蒔くゴロちゃんを発見。
俺は二階の窓から身を乗り出し、名前を呼ぶ。

「・・・先生」

少し間を空けて、ゴロちゃんが顔を上げる。

レンズ越しのはにかんだ笑顔。



カシャ。



ゴロちゃんは慌てて下を向いてしまう。

「・・・ちょっとぉ、ちゃんとこっち向いてよ」











「あ、ゴロちゃん。ほら、見て見て」


水撒きを終えたゴロちゃんに、俺はさっそく撮った写真を見せびらかす。

「結構綺麗に撮れてるでしょ?」

棚の奥に眠っていたポラロイドカメラと、大量の写真。
ゴロちゃんは微妙に複雑な顔で、手渡された写真の束を見つめる。

「もしかして写真撮られるの、嫌い?」

「いえ、嫌いってほどでは」

「じゃあ・・・苦手?」

「・・・少しだけ」

苦笑いで頷くゴロちゃん。


「んー、えいや!」




カシャ。






至近距離のフラッシュにゴロちゃんが眉をしかめる。

「センセェ!」

「あははは、ごめんごめん」

だってゴロちゃんの困った顔、可愛いんだもん。

抗議の視線はさらりと受け流し、俺はさっそくカメラから吐き出された写真をパタパタと振る。






「おっ出てきた出てきた」


徐々に浮かび上がってくる、困った顔のゴロちゃん。

うん、やっぱり可愛い。








一枚一枚、ゴロちゃんが写真をめくってく。
俺もゴロちゃんの肩にもたれかかって、一緒に写真を覗き込む。




はにかむゴロちゃん。
俯いたゴロちゃん。
水を蒔くゴロちゃん。
鉢を抱えるゴロちゃん。
ゴロちゃん。
ゴロちゃん。
ゴロちゃん。



これが俺のゴロちゃん。


照れ屋で、困った顔まで素敵。
笑顔はもっと素敵。







「先生の目には俺って、いつもこんなんな風に写ってるんっすか?」

「うん」


そうだよ、俺の視線の行方。
俺の映す世界そのもの。

きっと大好きで溢れてるでしょ?


「・・・なんだか、照れくさいですね」

 

 

 

 

そう言ってはにかむゴロちゃんは写真と同じだった。



 

 







写真に焼きつくのは、俺の視線。
俺の住む世界。







ねぇ、見て。

俺の世界はこんなにも美しいのだから。
俺の瞳にはこんなにも愛しい人が写っているのだから。










コレが俺の世界


コレが俺の愛した世界


コレが俺を抱きしめる世界










窓を開けて世界中に叫んだっていいんだ。





 

 








――――――――――――――――――――

黒太さんから頂いた素敵小説です!!
掲示板にもカキコさせていただいたのですが…もうラブラブな先生とゴローちゃんが…。
もうこの文全てがたまりません。。。
初対面でキリ番を2回も踏んでしまった(爆死)にもかかわらず
嫌な顔をせずにもう一つ小説を書いていただけるようで…。
レイファは窒息死寸前です(笑)

黒太さん、ありがとうございました!! 

 


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