独りに しないで。 彼は 甘えるように言いました。 +++終劇+++ 彼の衰弱は 目に見えて酷くなっていきました。 目眩が襲い 血を吐き 目も見えなくなりました。 それでも彼は 戦いに行こうとしました。 「やっぱり…無理じゃないですか…。」 「行かせてよ…。」 静かに先生は笑った。 「それにしても…今日は天気が悪いね…。」 俺は顔を上げた。 先生はこの窓から零れるこのしろいしろい光も見えない。 俺は唇を噛んだ。 「ゴローちゃんが…見えないよ…。」 「先生…。」 先生の方を向くと先生は微笑んで両手を伸ばした。 「ねぇ、ゴローちゃん、こっち来て。俺、ゴローちゃんが見たい。」 「先生、俺はここに居ます。」 俺は先生へ近づき先生の手の平を俺の頬に当てた。 「ほんとだ。…ねぇゴローちゃん…俺もここに居るよね…?」 「はい。先生も居ます。」 突然先生が糸の切れた人形のように倒れこんできた。 「先生っ…!!」 「御免ゴローちゃん…俺…眠くなってきちゃった…。」 「先生…。」 俺はそっと先生をソファーに寝かせた。 先生の体は恐ろしく軽く、今にも消えてしまいそうにくらい儚かった。 彼は もう戦えないのです。 それを悟り そっと傍に寄りました。 彼は意識が混濁してきたのか 虚ろな目で宙を見つめていました。 そして静かに 口を開きました。 「ゴローちゃんも…馬鹿だよね…。」 「先生…?」 先生はへらっと笑った。 「こんな我儘で…キザで…悪徳で…」 「先生…!俺は自分が望んで…!!」 「何でも出来るし…優しいのに…ほんとに馬鹿だよ…ゴローちゃんは…。」 「先生…。」 そっと先生の前髪をかきあげた。 「…でも」 「…何ですか?」 「大好きだよ…ゴローちゃん…。」 「先生ぇ…。」 涙が溢れてきた。 「だからゴローちゃん…後追うとか馬鹿な事考えないで…。あと…」 「…?」 「最期くらい…ゴローちゃん…傍に居てよ。」 それは 最後の我儘。 やがてゆっくりと目が閉じられていく。 「先生…!!しっかりしっ…先生!!」 先生の手が俺の頬を撫でた。 「ゴロー…ちゃん…。今まで…言えなかった…けどね…」 ありがとう。 彼はそう言うと目を閉じました。 その目は 開かれる事はありませんでした。 先生の手が力を無くし地へと落ちた。 「…先生…先生!!先生!!」 叫んでも目が開かれないのは知っている。 それでも叫ばずにはいられなかった。 「先生!!目ぇ開けろ!先生!!」 おもわず敬語ではなく普通の言葉が出てしまう。 「先生!!せんせ…!!」 涙が溢れポタポタと床を濡らした。 唇を噛み締め何とか涙を堪えようとした。 何とか笑顔を作り先生に微笑む。 「…お疲れ様でした…先生…。」 先生の手を胸の上でそっと組ませた。 机の上のコップにさしてあるバラをそっと先生の胸に置く。 ―先生が、一番好きな花。 そして故意に隠していたカードデッキを机から取り出す。 「すいません…俺にも…1つだけ…我儘言わせて下さい…。」 先生の髪をそっと撫でる。 「シミを取るのは…俺の仕事です…!!」 足音が響き静かに扉が閉じられた。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――― そして50話のアレに続いちゃうわけですよ(何) ゴローちゃん…(p_q) もういいよ!もう結婚しちまえよ!!お前ら!!(黙れ) ぎゃー!!!!(ライドシューターで逃走) |